「なぁ……」
「何です……?」
何というか、反則だと思った。
隣に浴衣を優律が歩いているわけだが……
浴衣は……、まあ、普通だと思う。いや、それなりに買うときには気を遣ったが……
問題は、いつものロングヘアではなく、ポニーテイルに結い上げていること。
夜なので暗くてよく見えないと思っていたら、白い月光は優律のうなじを浮かび上がらせて、かえって強調されてどうしても目にとまってしまう。
別に暑いわけでもないだろうに、うちわを両手の細い指を絡ませて持っているところも狙っているとしか思えない。
ちくせう。誰だよ、こんな魅惑的な身体に設計したのは!
「何ですか!?」
やばい、つい、ぼーっとしていたらしい。
「いや……」とお茶を濁そうにも何というか、ムスッとしながらこちらをみている優律が恥ずかしそうに目を伏せて……
「……可愛いと思うぞ」
あ〜、なんで、こういう風にしか言えないかなぁ……
こうワンパターンで、ひねりのきかないことしか言えないのは何げにコンプレックスで、そのうち飽きて捨てられるんじゃないかとすら……
名目上、僕が優律の所有者となっているがそんなことでは安心できない。
聞いた話によると、SMとかの関係の場合実際の主導権をM女性が握ることが多く、捨てられそうになって自殺するS男性もいるとか……
「思う?」
「いや、なんていうか、主観に頼っているわけでさ……、どう足掻いても客観じゃないからなぁ……」
そういう僕の前に少し歩幅を大きくして回り込んで動きを封じると、少し怒ったように呆れたように見上げて、
「私はにいさまの評価が聞きたいのであって、にいさまの考える客観なんてどうでも良いのです」
そして、くるっと前を向いて、軽い足取りで歩き出す。
そんなに大きくないはずのお尻が揺れているようで、そんな後ろ姿をみてみると……
「捲ってバックから犯したいなぁ……」
そういえば、優律が下着をつけていたのか?
それを確認できるだけの動体視力がなかったことを思い知らせるように、優律の蹴りをくらった……
最終更新日2005/7/16